PART 22

 

     31. だがあなたがたの中,アッラーとその使徒に服従,崇敬して善行に励む者には,われはそれに対する報奨を倍加し,寛大な用度を準備するであろう。 

 

     32. 預言者の妻たちよ,あなたがたは(外の)女たちと同じではない。もしあなかがたがアッラーを畏れるならば,心に病ある者の意を動かさせないよう,言葉が軽くてはならない。端正な言葉でものを言え。 

 

     33. あなたがたの家に静かにして,以前の無知時代のように,目立つ飾りをしてはならない。礼拝の務めを守り,定めの施しをなし,アッラーと使徒に従順であれ。家の者たちよ,アッラーはあなたがたから不浄を払い,あなたがたが清浄であることを望まれる。 

 

     34. またあなたがたの家で読誦される,アッラーの印と英知を銘記せよ。本当にアッラーは親切にして全知であられる。 

 

     35. 本当にムスリムの男と女,信仰する男と女,献身的な男と女,正直な男と女,堅忍な男と女,謙虚な男と女,施しをする男と女,斎戒(断食)する男と女,貞節な男と女,アッラーを多く唱念する男と女,これらの者のために,アッラーは罪を赦し,偉大な報奨を準備なされる。 

 

     36. 信仰する男も女も,アッラーとその使徒が,何かを決められた時,勝手に選択すべきではない。アッラーとその使徒に背く者は,明らかに迷って(横道に)逸れた者である。 

 

     37. アッラーの恩恵を授かり,またあなたが親切を尽くした者に,こう言った時を思え。「妻をあなたの許に留め,アッラーを畏れなさい。」だがあなたは,アッラーが暴露しようとされた,自分の胸の中に隠していたこど(養子の妻との結婚が人の口の端に上がること)を恐れていた。寧あなたは,アッラーを畏れるのが本当であった。それでザイドが,かの女に就いて必要なことを済ませ(離別し)たので,われはあなたをかの女と結婚させた。(これからは)信者が,必要な離婚手続きを完了した時は,自分の養子の妻でも,(結婚にも)差し支えないことにした。アッラーの命令は完遂しなければならない。 

 

     38. 預言者が,アッラーの御命令を行うのは妨げない。これはあなた以前の者に対するアッラーの慣行である。アッラーの命令は動かせない定めである。 

 

     39. アッラーの御告げを伝える者たちは,かれを畏れ,アッラー以外の何ものをも畏れない。アッラーは清算者として万全であられる。 

 

     40. ムハンマドは,あなたがた男たちの誰の父親でもない。しかし,アッラーの使徒であり,また預言者たちの封緘である。本当にアッラーは全知であられる。 

 

     41. あなたがた信者よ,アッラーをつねに唱念〔ズィクル〕しなさい。 

 

     42. 朝な夕な,かれの栄光を讃えなさい。 

 

     43. かれこそは,あなたがたを暗黒から光明に連れ出すために,天使たち共々あなたがたを祝福なされる方である。かれは真の信者に,慈悲深くあられる。 

 

     44. かれらがかれに会う日の挨拶は,「平安あれ。」である。かれらのために,寛大な報奨を準備なされる。 

 

     45. 預言者よ,本当にわれはあなたを証人とし,吉報の伝達者そして警告者として遣わし, 

 

     46. かれの許しで(人びとを)アッラーに招く者,光明を行き渡らせる燈として(遣わした)のである。 

 

     47. それで信者たちにアッラーからの偉大な賜物があるとの吉報を伝えなさい。 

 

     48. 無信仰の者や偽信者に,従ってはならない。かれらの煩わしさを意にとめず,只ひたすらアッラーに(全てを)托しなさい。アッラーは,(凡ての事の)管理者として万全であられる。 

 

     49. 信仰する者たちよ,あなたがたは信者の婦人と結婚し,かの女に触れないうちに離婚する場合は,かの女らに就いて定めの期限を計算しなくてもよい。かの女らに贈与をなし,面目を立ててきれいに離別しなさい。 

 

     50. 預言者よ,われがあなたの妻として許した者は,あなたがマハルを与えた妻たち,また捕虜としてアッラーがあなたに授けた,あなたの右手の所有する者,あなたの父方のおじ,おばの娘たち,母方のおじ,おばの娘たちで,あなたと共に移住してきた者,また女の信者で心身を預言者に捧げたという者で,もし預言者がこれと結婚を欲するならば(許される)。これはあなただけの(特例)で,外の信者たちには許されない。われは,あなたが窮地に陥いらないようかれら(信者)の妻,とその右手の所有する者に就いて,かれらにわれが決めたことは承知させている。アッラーは寛容にして慈悲深い方である。 

 

     51. あなたは妻たちの中の,欲する者を去らせ,欲する者を受け入れてもよい。またあなたが退けていた者を召しても罪はない。これはかの女らを喜ばせ,その心の憂いを解き,またあなたが各自に与えるもので満足させるため妥当である。アッラーはあなたがたが胸に抱くことを知っておられる。アッラーは全知にして大度であられる。 

 

     52. あなたはこの後,女(を娶ること)もまた妻たちを取り替えることも許されない。仮令その美貌があなたの気をひいても。ただしあなたの右手が所有する者は別である。アッラーは凡てのことを監視なされる。 

 

     53. 信仰する者よ,預言者の家に食事に呼ばれても食事の準備が,完了するまでは,家の中に勝手に入ってはならない。だが呼ばれた時は入りなさい。食事が終ったならば立ち去れ。世間話に長座してはならない。こんなことが預言者に迷惑であっても,預言者はあなたがたを(退散させることを)遠慮するであろう。だがアッラーは真実を(告げることを)遠慮なされない。またあなたがたが,かの女らに何ごとでも尋ねる時は,必ず帳の後からにしなさい。その方があなたがたの心,またかの女らの心にとって一番汚れがない。またあなたがたは,アッラーの使徒を,悩ますようなことがあってはならない。またあなたがたはどんな場合でも,かれの後でかれの妻たちを娶ってはならない。本当にそれらは,アッラーの御目には大罪である。 

 

     54. あなたがたが何か現わしてもまた隠しても,アッラーは凡てのことを深く知っておられる。 

 

     55. かの女たちが(ヴェールをとっても)罪ではないのは,かの女らの父または息子,それから兄弟,兄弟の息子または姉妹の息子,または同信の女たちとかの女たちの右手が所有する者たちである。(婦人たちよ。)アッラーを畏れなさい。アッラーは本当に凡てのことの立証者であられる。 

 

     56. 本当にアッラーと天使たちは,聖預言者を祝福する。信仰する者たちよ,あなたがたはかれを祝福し,(最大の)敬意を払って挨拶しなさい。 

 

     57. 本当にアッラーと使徒を悩ます者には,アッラーは現世でも来世でも,激怒なされ,かれらのために恥ずべき懲罰を準備なされる。 

 

     58. また理由もなく,男女の信者を不当に悩ます者は,必ずそしられて明白な罪を負う。 

 

     59. 預言者よ,あなたの妻,娘たちまた信者の女たちにも,かの女らに長衣を纒うよう告げなさい。それで認められ易く,悩まされなくて済むであろう。アッラーは寛容にして慈悲深くあられる。 

 

     60. もし,偽信者や心に病の宿る者,そして市中の扇動者たちが,(その悪事を)止めなければ,かれらに対しあなたを,駆り立ててやろう。そうすればこの後,かれらがあなたがたの隣人としていられるのも,僅かの間であろう。 

 

     61. かれらは必ず呪われ,見つかり次第捕えられ,殺されるであろう。 

 

     62. これは昔の過ぎ去った者たちに対する,アッラーの慣行である。アッラーの慣行には何の変更もない。 

 

     63. 人びとは(審判の)時に就いてあなたに尋ねよう。言ってやるがいい。「本当に,その知識は,アッラーの御許にある。どうしてあなたに分るだろうか,その時は近いであろう。」 

 

     64. 本当にアッラーは不信者に激怒され,かれらのために烈火を準備なされ, 

 

     65. かれらは永遠にその中に住・,守護者も救助者も見い出せないであろう。 

 

     66. その日,かれらの顔が火の中でひっくり返り,かれらは,「ああ,わたしたちはアッラーに従い,また使徒に従えばよかった。」と言うだろう。 

 

     67. またかれらは言うだろう。「主よ,わたしたちは,本当に頭や権力者たちに従っていました。かれらがわたしたちを,道に迷わせたのです。 

 

     68. 主よ,かれらの懲罰を2倍にして,酷い激怒でかれらに御怒り下さい。」 

 

     69. 信仰する者よ,ムーサーを悩ました者のようであってはならない。だがアッラーはかれらの言った中傷から,かれを清められた。アッラーの御許で,かれは栄誉を与えられていた。 

 

     70. 信仰する者よ,アッラーを畏れなさい。(常に)実直な言葉でものを言いなさい。 

 

     71. かれはあなたがたのためにその行いを矯正され,諸々の罪を赦される。アッラーとその使徒に従う者は,確かに偉大な幸福を成就する者である。 

 

     72. 本当にわれは,諸天と大地と山々に信託を申しつけた。だがそれらはそれを,担うことを辞退し,且つそれに就いて恐れた。人間はそれを担った。本当に(人間は)不義でありかつ無知である。 

 

     73. (それで)アッラーは,偽信者の男たちと女たち,また多神教徒の男たちと女たちを,処罰なされる。だがアッラーは,信仰する男たちと女たちには,哀れ・をかけられる。アッラーは寛容にして慈悲深い御方であられる。

 

34 - サバア章

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

 

     1. 天にあり地にあるす凡てのものを所有なされるアッラーに讃えあれ。来世においても,讃えはかれのものである。かれは英明にして凡てに通じておられる。 

 

     2. かれは大地に入るもの,またそれから出るものを凡て知っておられ,また天から下るもの,ならびにそこに上るもの凡てを知っておられる。かれは慈悲深く寛容であられる。 

 

     3. 信仰のない者は,「(審判の)時は,わたしたちには来ないであろう。」と言う。言ってやるがいい。「いや,主に誓って,それは必ずあなたがたにやって来るのである。幽玄界までも知っておられる主に誓って。天においても地においても,微塵の重さでも,かれから免れられるものはない。またそれより小さいものも大きいものも,明確な書に記されないものはない。 

 

     4. それはかれが,信仰して善行をする者に,報われるためである。これらの者にこそ,寛容と寛大な御恵・があろう。 

 

     5. だがわれの印を虚しくするために努力する者,これらの者には痛ましい懲罰があろう。 

 

     6. 知識を授かった者なら,主があなたに下されたものは真理であって,それが偉力ある方,讃美すべき方の道に導くものであることが分るであろう。」 

 

     7. 不信者たちは(嘲笑して)言う。「あなたがたが粉々にされ散らされた後で,新しく創造されるなどと告げる人間を,教えましょうか。」 

 

     8. だがかれはアッラーに就いて,虚偽を言ったのか。それとも気違いになってしまったというのか。いや,かれらは来世を信じない,懲罰の中にいる酪い心得違いの者である。 

 

     9. かれらはかれらの前後にある天と地を見ないのか。もし欲するならば,われがかれらを大地に呑ませ,または天の一角をかれらの上に落とすであろう。本当にその中には悔悟して主に返ろしもベにとっての印がある。 

 

     10. われは,且つてダーウードに恩恵を授け(て言っ)た。「山々よ,ダーウードと共に(われを)讃えなさい。また鳥たちも。」われはまた,かれのために鉄を軟らかにして, 

 

     11. (言った)。「あなたは鎖帷子を造り,環をよく整えなさい。そして善行に勤しめ。本当にわれは,あなたがたの所行をよく見ている。」 

 

     12. またスライマーンには風を(支配させ),(その風の一吹きで)一朝に一ケ月(の旅路)を,また夕に一ケ月(の帰路)を(旅させた)。またわれはかれらに熔けた銅の泉を湧き出させた。また主の御許しによりあるジン(幽精)に,かれの面前で働かせ,かれらの中われの命令に背く者には,烈しい(?)の懲罰を味わわせた。 

 

     13. かれらは,かれ(スライマーン)のためにその望む高殿や彫像や池のような水盤,また固定した大釜を製作した。(それぞれの持場で)「あなたがたは働け,ダーウードの家族よ,感謝して働け。」だがわれのしもベの中で感謝する者は僅かである。 

 

     14. われがかれ(スライマーン)に死の断を下した時も,かれらにその死を知らせたのは,一匹の地の虫がかれの杖を蝕ばんだことであった。それでかれが倒れると,ジンたちは(始めて)悟った。もしも幽玄界のことを知っていたならば,恥辱の懲罰に服している要もなかったのに。 

 

     15. 本当にサバアでも,その住まいに一つの印が授けられていた。右側と左側の2つの果樹園。(そしてかれらに仰せられた。)「あなたがたの主の与える食物を食べ,かれに感謝せよ。土地は立派で,主は寛大であられる。」 

 

     16. だがかれらは(アッラーから)背き去った。それでわれは,かれらに洪水を送り,かの2つの園を,柳と僅かばかりのハマナツメの苦い実を結ぶ園に変えた。 

 

     17. そのようにわれは,かれらが不信心であったために報いた。われが,不信心(恩を忘れる)者以外に報復などしようか。 

 

     18. われはかれらと,われが祝福した都市との間に,(旅人が)見付け易い幾つかの町を蝕け,その旅程を定めた。「昼も夜も安全に旅をしなさい。」 

 

     19. それなのにかれらは言った。「主よ,わたしたちの旅程の間隔をもっと遠くして下さい。」こうしてかれら自らその身を誤まった。われはかれら凡てを粉々にして散らし,(後の人の)語り草とした。本当にこの中には,堅忍して感謝する者たちへの(われの)印がある。 

 

     20. イブリースはかれらについて,かれの思惑が図に当たつた。そこでかれらは一部の信者を除き,(凡て)かれに従った。 

 

     21. しかしかれ(悪魔)は,かれらに対して権威があった訳ではなかった。われは,来世を疑っている者と信じる者を識別しようとしたに過ぎない。本当にあなたがたの主は凡てのことを見守っておられる。 

 

     22. 言ってやるがいい。「アッラーを差し置いてあなたがたが(神であると)主張していたものたちに祈るがよい。そんな神々は,天においても地においても微塵の力もない。またその(創造)に当っては,何ら役割を持たず,アッラーにしてもそんな助力者を必要とはしていない。」 

 

     23. かれが御許しになられた者の外,御前での執り成しは無益である。やがてかれらの心の怖れが消えると天使たちは言う。「あなたがたの主は,何と仰せられたのですか。」するとかれらは(答えて),「真理でした。かれは,至高にして至大の御方です。」という。 

 

     24. 言ってやるがいい。「天地からあなたがたに扶養を与えるのは誰なのか。」言ってやるがいい。「アッラーであられる。要するにわたしたちか,またはあなたがたのどちらかが導きの上にあり,どちらかが迷っている。」 

 

     25. 言ってやるがいい。「あなたがたは,わたしたちの犯した罪に就いて問われず,わたしたちもまた,あなたがたが行ったことに就いて問われない。」 

 

     26. 言ってやるがいい。「主は一斉にわたしたちを召され,真理に基いてわたしたちの間を裁かれる。かれは真の裁決者で全知におわします。」 

 

     27. 言ってやるがいい。「あなたがたが,同位の者としてかれに,配するものをわたしに見せなさい(決して出来ないであろうが)。」いや,かれこそはアッラー。偉力ならびなく英明であられる。 

 

     28. われは,全人類への吉報の伝達者また警告者として,あなたを遺わした。だが人びとの多くは,それが分らない。 

 

     29. かれらは,「あなたの言葉が真実なら,この約束(審判の日)は何時(やって来るの)ですか。」と言っている。 

 

     30. 言ってやるがいい。「あなたがたへの約束の日は,あなたがたが一刻も取り戻せずまた先んじることも出来ない(日である)。」 

 

     31. 信じない者は,「わたしたちはこのクルアーンも信じないし,またこれ以前にあった啓典も信じません。」と言う。不義を行った者が,主の御前に立たされる時の姿を,あなたに見せてやりたいもの。かれらは栗いに(外に罪を負わせて)罵り合う。無力であった者は微慢であった者に言う。「あなたがたが,いなかったら,わたしたちはきっと,信者になっていましたのに。」 

 

     32. 倣慢であった者は,無力であった者に言う。「導きがあなたがたに届いた後,あなたがたをそれらから背かせたのは,わたしたちであったというのか,いや,あなたがたこそ罪作りであった。」 

 

     33. 無力であった者は傲慢であった者に言う。「いや,夜となく昼となく,(あなたがたは)策謀をしていました。現にアッラーを信じないし,かれに同位者を立てるよう,あなたがたは(不断に)命令しました。」かれらは懲罰を見るに及んで,後悔する。われは不信心な者の首に枷をかける。かれらは,その行ったことで,報いを受けるだけである。 

 

     34. われが町に,警告者を遣わす度に,そこの富裕な者たちは,「あなたがたが遺わされたことを,わたしたちは信じません。」と決まって言ったのである。 

 

     35. 「また,わたしたちは多くの財産と子女があるので,懲罰される(ような)ことはありません。」とも言った。 

 

     36. 言ってやるがいい。「本当にわたしの主は,御心のままに豊かに御恵・を与えられ,また乏しくもなされる。だが人びとの多くは理解しない。」 

 

     37. あなたがたをわれにもっと近づけるものは,財産でも子女でもない。信仰して善行に勤しむ者は,その行いの倍の報奨を与え,高い住まいが保証される。 

 

     38. またわれの印を頓座させるために努力する者は,懲罰に引きたてられる。 

 

     39. 言ってやるがいい。「本当にわたしの主は,そのしもべの中から御心に適う者に,御恵・を豊かに与えまた或る者には乏しく授けられる。かれはあなたがたが(主の道のために)施すものはすべて返される。かれは最も優れた御恵を与える方であられる。」 

 

     40. 一斉にかれらを召集なされる日。かれは天使たちに向かって仰せられよう。「これらの者は,あなたがたを崇拝していたのか。」 

 

     41. かれら天使たちは(答えて)言う。「あなたに讃えあれ。あなたはわたしたちの愛護者であられます。だがかれらはその限りではありません。かれら(人々)はジンを崇拝していました。多くの者は,かれら(ジン)の信者でした。」 

 

     42. あなたがたはこの日,お栗いに益にも害にも役立たない。われは不義を行っていた者たちに言う。「あなたがたが偽りとしていた,火獄の懲罰を味わえ。」 

 

43.明白なわれの印が,かれらに読誦されても,かれらは言う。「これは一人の男が,あなたがたの祖先の崇拝していた神々から背かせようとするのである。」また言う。「これは只捏造した,作りごとである。」また真理を信じない者たちは,それがかれらに現われると,「これは明らかに魔術に過ぎない。」と言う。 

 

44.われは(前もって),かれらの学び得る啓典を下していた訳ではない。またあなた以前に,どんな警告者もかれらに遣わさなかった。 

 

45.かれら以前の者も(真理)を嘘であるとした。われが昔の人々に与えたものは(マッカの人びとにとっては)十分の一にも達しない程(優遇)したのに,われの預言者を嘘つき呼ばわりした。わが怒りは何と激しかったことか。 

 

46.言ってやるがいい。「わたしは忠告する。あなたがたはアッラーの御前に,2人ずつまたは1人ずつ立ってよく考えなさい。あなたがたの同僚は,気違いではない。かれは厳しい懲罰の(下る)以前に,あなたがたに警告するに過ぎない。」 

 

47.言ってやるがいい。「わたしは,どんな報酬もあなたがたに要求しない。それは(凡て)あなたがたのものである。わたしは報酬を,只アッラーから(戴く)だけである。かれは凡てのことを立証される。」 

 

     48. 言ってやるがいい。「本当にわたしの主は,(しもベに)真理を投げかけられ,見得ないものを知り尽くされる。」 

 

49.言ってやるがいい。「真理(イスラーム)は下り,偽り(邪神)は何らその後創造することもなくまた再び繰返すこともない。」 

 

50.言ってやるがいい。「仮令わたしが迷っても,只わたし自身(を損なう)だけである。また,もし導かれているならば,それは主がわたしに啓示された御陰である。本当にかれは全聴にして至近におわす方であられる。」 

 

     51. かれら(不信者)が恐怖に震える姿を,あなたに見せたいもの,かれらは逃れる道もなく,近い所から捕えられる。 

 

52.その時かれらは,「わたしたちはそれを信じます。」と言う。(そんな)遠方からでは,どうして(信仰が)得られようか。 

 

     53. 以前にもかれらは信じようとはしないで,遠方から幽玄界のことに就いて推測するばかりであったではないか。 

 

54.以前,かれらの同類に対してなされたように,その熱望するもの(信仰)とかれらとの間に,障壁が置かれよう。本当にかれらは,邪推深い疑いの中にいるのである。

 

35 - 創造者章〔ファーティル〕

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

 

     1. アッラーに讃えあれ。天と地の創造者であられ, 2対,3対または4対の翼を持つ天使たちを,使徒として命命なされる。かれは御心のまま数を増して創造される。本当にアッラーは凡てのことに全能であられる。 

 

     2. アッラーが人間に与えられるどんな慈悲も,阻まれることはない。またかれが阻む何事も,それを解き放すものはない。本当にかれは偉力ならびなく英明であられる。 

 

     3. 人びとよ,あなたがたに対するアッラーの恩恵を念え。天と地からあなたがたに扶養を与えられる創造者が,アッラーをおいて外にあるのか。かれの外には神はないのである。それでもあなたがたはどうして(真理から)迷うのか。 

 

     4. かれらはあなたを嘘付き呼ばわりするが,あなた以前の使徒たちも虚言者と呼ばれた。本当に凡てのことは,アッラーに帰されるのである。 

 

     5. 人びとよ,アッラーの約束は真実である。だから,現世の生活に欺かれてはならない。またアッラーに関し,騙し上手に欺かれてはならない。 

 

     6. 本当にシャイターンはあなたがたの敵である。だから敵として扱え。かれは,只燃えさかる火獄の仲間とするために自分の手下を招くだけである。 

 

     7. 信仰のない者は,厳しい懲罰に会う。だが信仰して善行に動しむ者には,寛容と偉大な報奨があろう。 

 

     8. 自分の悪行を立派であるとし,それを善事と見る者(ほど迷った者)があろうか。本当にアッラーは,御望・の者を迷わせ,また御望・の者を導かれる。だからかれらのために嘆いて,あなたの身を損なってはならない。アッラーはかれらのなすことを知り尽される。 

 

     9. 本当にアッラーこそは,風を送られる方である。それは雲を起こし,それを死んだ土地にやり,死に果てた大地を甦らされる。復活もまたこのようである。 

 

     10. 誰でも栄誉権勢を願うならば,一切の栄誉権勢は,アッラーの御許にある(ことを知れ)。(一切の)善い言葉は,かれの許に登って行き,正しい行いはそれを高める。また悪事を企らむ者には,厳しい懲罰があり,それらの企ら・は,無効になるであろう。 

 

     11. アッラーは,土からあなたがたを創り,さらに一精滴から創り,次いであなたがたを一組(の男女)になされた。かれが知らずに,宿しまた分娩する女はない。長命な者も,短命な者も,書冊の中に載せられないものはない。本当にそれは,アッラーにおいては容易なことである。 

 

     12. 2つの海は同じではない。(1つは)甘く,渇きを癒し,飲んで快よい。しかし,(外は)塩辛くて苦い。しかし,そのどれからも,新鮮な肉をとって食べ,またあなたがたが身に付ける,種々の装飾品も採取する。またあなたがたは,その中を船が(水を)切って進むのを見よう。それはあなたがたに,かれの恩恵を求めさせるためである。必ずあなたがたは感謝するであろう。 

 

     13. かれは夜を昼に没入させ,また昼を夜に没入させ,(昼夜の交替),太陽と月を従えられ,それぞれ周期をもって定められた期間(復活の日)まで(その軌道を)運行さしめる。このようなことが(出来るのは)あなたがたの主,アッラーであられ,大権はかれに属する。だがかれらが,かれをおいて祈るものたちは,キトミール(さえ)どうすることも出来ない。 

 

     14. あなたがたがかれらに祈っても,あなたがたの祈りを聞かず,聞いたとしてもあなたがたに答えはしない。審判の日にかれらはあなたがたが(かれらを主に)配したことさえ否認しよう。全知な御方のように,(真実を)あなたに知らせ得る者はないのである。 

 

     15. 人びとよ,あなたがたはアッラーに求める以外術のない者である。アッラーこそは,富裕にして讃美すべき方である。 

 

     16. もしかれが御望・ならば,あなたがたを退けて,新しい創造物を(湾?)される。 

 

     17. これは,アッラーにおいて最も易しいことである。 

 

     18. 荷を負う者は,他人の荷を負うことは出来ない。もし荷を負わされる者が,その荷のため他人を呼んでも,近親者ですら,その一部さえ負うことは出来ない。あなたが警告出来るのは,目に見えないかれらの主を畏れ,礼拝の務めを守る者だけである。その身を清める者は,唯自分の魂のために清める。(凡てのものは)アッラーの許に帰りゆくのである。 

 

     19. 盲人と正常の目の人とは,同じではない。 

 

     20. 暗黒と光明も, 

 

     21. また(涼しい)影と,(太陽の)灼熱も, 

 

     22. また生と死も,同じではない。本当にアッラーは,御好・になられた者に御聞かせになる。だがあなたは,(死んで)墓の中にいる者に聞かせることは出来ない。 

 

     23. あなたは一人の警告者に過ぎない。 

 

     24. 本当にわれは,吉報の伝達者として,また警告者として,真理を持たせてあなたを遣わした。(またこれまでも)どの民にもかれらの間に,一人の警告者が行かなかったものはない。 

 

     25. かれらはあなたを拒否するが,かれら以前の者たちもやはり拒んできた。使徒たちは,明証(奇蹟)と書巻と輝かしい啓典を携えてかれらに来た。 

 

     26. それでわれは,これら不信心の者を罰した。わが怒りの何と激しかったことよ。 

 

     27. あなたがたは見ないのか。アッラーは天から雨を降らせられる。それでわれは,色とりどりの果物を実らせる。また山々には,白や赤の縞があり,その外多くの色合いをもち,真黒いところもある。 

 

     28. また人間も鳥獣家畜も,異色とりどりである。アッラーのしもべの中で知識のある者だけがかれを畏れる。本当にアッラーは偉力ならびなく寛容であられる。 

 

     29. 本当にアッラーの啓典を読誦する者,礼拝の務めを守り,われが授けたものから密に,またあらわに施す者は,失敗のない商売を願っているようなもの。 

 

     30. かれは,十分にかれらに報奨を払われ,御恵・を余分に与えられる。本当にかれは,度々赦される御方,(奉仕に)十分感謝される方であられる。 

 

     31. われがあなたに啓示した啓典は真理であって,それ以前のものを確証するものである。本当にアッラーは,かれのしもべたちに就いて熟知し,かれらを監視なされる。 

 

     32. その後,われはしもべの中から選んだ者に,この啓典を継がせた。だがかれらの中には,自ら魂を誤った者も,中間の道をとる者もあった。またかれらの中の或る者は,アッラーの御許しのもとに,率先して種々の善行に勤しむ者もあった。それは偉大な御恵・である。 

 

     33. かれらは永遠の楽園に入ろう。その中でかれらは,黄金の腕環と真珠で身を飾り,その衣装は絹である。 

 

     34. かれらは言う。「アッラーを讃えます。わたしたちから(凡て)の苦悩を取り除いて下された御方。わたしたちの主は,度々赦される御方,(奉仕を)十分に認められる御方です。 

 

     35. かれの御恵・によって,わたしたちは永遠の邸宅に住・,そこで苦労をすることもなく,また疲れを覚えることもありません。」 

 

     36. しかし信じない者に対しては,地獄の火があろう。かれらには(そこにいる期間も)宣告されず,死ぬことも出来ず,また懲罰も軽減されないのである。われは,凡ての恩を忘れる者にこのように報いる。 

 

     37. かれらはその中にあって叫ぶであろう。「主よ,わたしたちを出して下さい。きっと善い行いをします。(これまで)していたようなことは,いたしません。」(かれは仰せられよう。)「われは,あなたがたを十分に長命させたではないか。その間に誰でも訓戒を受け入れる者は,戒めを受け入れたはず。しかも警告者さえあなたがたに遣わされていた。だから(懲罰を)味わえ。悪い行いの者には救助者はないのである。」 

 

     38. 本当にアッラーは,天と地の幽玄界を知っておられる。かれは,(人間が)胸の中に抱くことを熟知しておられる。 

 

     39. かれこそは,あなたがたを地上の継承者とされた方である。誰にしても信じない者は,その不信心で自分自身を損う。かれらの不信心は,主の憎し・を増すばかりであり,またかれらの不信心は,自分の損失を増すばかりである。 

 

     40. 言ってやるがいい。「あなたがたがアッラーの外に祈る,あなたがたが配する(神々)について考えたことがあるのか。地上にかれらの創造したものがあるのか。それともかれらのために天からの協力者があるのか。われに示しなさい。それともそのような(アッラーに同位者が居るということ)証拠を示す啓典をわれがかれらに与えたとでもいうのか。いや,悪い行いの者たちは,只欺瞞によって栗いに約束しあっているのに過ぎない。 

 

     41. 本当にアッラーは,天と地の運行が外れないよう支えられる。もしそれら両者が,外れることがあるならば,かれをおいて何ものもこれを支え得るものはない。本当にかれは,我慢強い方,何回も赦される方であられる。 

 

     42. かれらはアッラー(の御名)にかけて,厳粛な誓いをたて,もし警告者が自分たちのところに来るならば,どんな民よりも立派に導かれるであろう(と言っていた)。だが警告者がかれらに来るに及んで,かれらはますます(正しい信仰から)遠ざかるばかりであり, 

 

     43. 地上で高慢にふるまい,悪事の策謀ばかりをしていた。だが悪事の策謀は,その当人に振りかかるだけである。だからかれらは昔の人々の(滅亡した)慣行を待つ外はないであろう。それであなたは,アッラーの慣行には代替がないことが分るであろう。また変更も決してないことも分るであろう。 

 

     44. かれらは地上を旅して,かれら以前の者たちの末路がどうなったかを観察しなかったのか。かれら(昔の者)は,かれらよりも力が優れていた。天にあり地にある何ものも,アッラーを挫くことは出来ないのである。本当にかれは全知にして全能であられる。 

 

     45. もしアッラーが,人間をその所業によって罰されるならば,地上に,一人の生存者も残されなかったであろう。だがかれは期限を定めて,かれらを猶予なされた。だが,かれらの期限が到来すれば,本当にアッラーはしもべたちの監視者であられる。

 

36 - ヤー・スィーン章

慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名において。

 

     1. ヤー・スィーン。 

 

     2. 英知に満ちた,クルアーンによって誓う。 

 

     3. 本当にあなたは,使徒の一人で, 

 

     4. 正しい道の上に(人びとを導く者である)。 

 

     5. (これは)偉力ならびなく慈悲深き御方の啓示で, 

 

     6. 祖先がいまだ警告を受けず,それで気付かないでいる民に,あなたが警告するためのものである。 

 

     7. 本当にその御言葉が,かれらの多くの者に下ってしまっているのだが,かれらは信じない。 

 

     8. われはかれらに首枷をはめ,それが顎にまで及ぶ。それでかれらの頭は上向きになった。 

 

     9. またわれは,かれらの前面に陣壁を置き,また背面にも障壁を置き,そのうえかれらに覆いをした。それでかれらは見ることも出来ない。 

 

     10. あなたが警告してもまた警告しなくても,かれらにとって同じで,かれらは信じない。 

 

     11. あなたは,訓戒に従う者,また目に見えない慈悲深き御方を畏れる者だけに,警告しなさい。それであなたはこれらの者に,寛容と偉大な報奨の吉報を伝えなさい。 

 

     12. 本当にわれは死者を甦らせ,またかれらが予め行ったこと,そして後に残した足跡を記録する。われは一切を,明瞭な記録簿の中に数え上げている。 

 

     13. 町の仲間(の物語)を,例としてかれらに示すがよい。使徒たちがそこにやって来た時のことを。 

 

     14. 初めわれは,2人の使徒を遺わしたが,かれらは,2人とも嘘付き扱いをされた。それでわれは第3の者で強化した。そして使徒たちは言った。「本当にわたしたちは,あなたがたの許に遣わされた者です。」 

 

     15. するとかれらは言った。「あなたがたはわたしたちと同じ人間に過ぎません。慈悲深き御方は何も啓示を下されはしません。あなたがたは,嘘をついているだけです。」 

 

     16. かれら(使徒)は言った。「わたしたちが,実際あなたがたに遣わされた者であることは,主が御存知です。 

 

     17. わたしたちの務めは,只あなたがたに明白(なアッラーの御命令)を宣べ伝えるだけです。」 

 

     18. かれら(人びと)は言った。「わたしたちにとってあなたがたは確かな凶兆です。もし止めないならば,あなたがたを必ず石打ち(の刑)にしましょう。酷いめにあわせてやりますぞ。」 

 

     19. かれら(使徒)は言った。「あなたがたこそ凶兆です。あなたがたは訓戒されても(尚そう言うの)ですか。いや,あなたがたは無法の民です。」 

 

     20. その時町の外れから一人の男が走って来て,言った。「皆さん,(アッラーから)遣わされたこの人たちに従いなさい。 

 

     21. あなたがたに何の報酬も求めない方たちに従いなさい。かれらは(正しく)導きを得ている。 

 

     22. わたしを創られた方に仕えないなど,どうして出来ようか。あなたがたもかれの御許に帰されるのです。 

 

     23. そのような御方を差し置いて,外の神々を求められましょうか。もし慈悲深き御方がわたしに災いを下そうと望まれるならば,かれら(邪神)の執り成しは少しも役立たず,またわたしを救うことも出来ません。 

 

     24. (そうなるとしたら)明らかにわたしは誤りを犯したことになります。 

 

     25. わたしは,あなたがたの(真の)主を信じます。だから(人びとよ,)わたし(の言うこと)を聞きなさい。」 

 

     26. その時かれは,「あなたは楽園に入れ。」と仰せられた。そしてかれは「わが主の御赦しが与えられ,栄誉ある者の中に, 

 

     27. 加えられたことを入びとに知ってもらえたら。」と言った。