PART 5

 

     24. またあなたがたに(禁じられている者は),夫のある女である。ただしあなたがたの右手の所有する者(奴隷の女)は別である。これはあなたがたに対するアッラーの掟である。これら以外は,すべてあなたがたに合法であるから,あなたがたの財資をもって,(良縁を)探し求め,面目を恥かしめず,私通(のよう)でなく(結婚しなさい)。それでかの女らと,交わった者は,定められたマハルを与えなさい。だがマハルが定められた後,相栗の合意の上なら,(変更しても)あなたがたに罪はない。本当にアッラーは全知にして英明な御方であられる。 

 

     25. あなたがたの中,信者の自由な女を娶ろ資力のない者は,右手の所有する信仰ある女を娶れ。アッラーはあなたがたの信仰を熟知される。あなたがたは,(皆)一人の者から次々に(生まれた者で)ある。だから女性の家族の承諾を得て,かの女らと結婚しなさい。そして妥当な婚資を,かの女らに贈れ。かの女らが慎ましく,淫らでなく,また隠した友もないならば。かの女らが妻となった後に,破廉恥な行いがあれば,懲罰は自由な女に科せられる半分である。これはあなたがたの中,罪を犯すことを恐れる者への定めである。だが欲を押えるならば,あなたがたにとり更によい。本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。 

 

     26. アッラーはあなたがたに(掟を)解明して,あなたがた以前の者の慣行に導こうとなされ,あなたがたの悔悟を許すよう望まれる。アッラーは全知にして英明であられる。 

 

     27. アッラーは,あなたに対し悔悟を赦そうと望まれる。だが自分の欲望に従う者たちには,片寄った上にも,大きく片寄り去るよう望まれる。 

 

     28. (また)アッラーは,あなたがた(の負担)を軽くするよう望まれる。人間は(生れ付き)弱いものに創られている。 

 

     29. 信仰する者よ,あなたがたの財産を,不正にあなたがたの間で浪費してはならない。だがお栗いの善意による,商売上の場合は別である。またあなたがた自身を,殺し(たり害し)てはならない。誠にアッラーはあなたがたに慈悲深くあられる。 

 

     30. もし敵意や悪意でこれをする者あれば,やがてわれは,かれらを業火に投げ込むであろう。それはアッラーにとって,非常に易しいことである。 

 

     31. だがあなたがたが,禁じられた大罪を避けるならば,われはあなたがたの罪過を消滅させ,栄誉ある門に入らせるであろう。 

 

     32. アッラーがあなたがたのある者に,他よりも多く与えたものを,羨んではならない。男たちは,その稼ぎに応じて分け前があり,女たちにも,その稼ぎに応じて分け前がある。アッラーの御恵・を願え。誠にアッラーは凡てのことをよく知っておられる。 

 

     33. 各人のために,われはその父母と近親が残すものの相続者を決めた。なおあなたがたの右手が約束した者にも,その分け前を与えなさい。本当にアッラーは凡てのことの立証者であられる。 

 

     34. 男は女の擁護者(家長)である。それはアッラーが,一方を他よりも強くなされ,かれらが自分の財産から(扶養するため),経費を出すためである。それで貞節な女は従順に,アッラーの守護の下に(夫の)不巧中を守る。あなたがたが,不忠実,不行跡の心配のある女たちには諭し,それでもだめならこれを臥所に置き去りにし,それでも効きめがなければこれを打て。それで言うことを聞くようならばかの女に対して(それ以上の)ことをしてはならない。本当にアッラーは極めて高く偉大であられる。 

 

     35. もしあなたがたが,両人の破局を恐れるならば,男の一族から一人の調停者を,また女の一族からも一人の調停者をあげなさい。両人がもし和解を望むならば,アッラーは両人の間を融和されよう。本当にアッラーは,全知にして何ごとにも通暁しておられる。 

 

     36. アッラーに仕えなさい。何ものをもかれに併置してはならない。父母に懇切を尽くし,また近親や孤児,貧者や血縁のある隣人,血縁のない隣人,道づれの仲間や旅行者,およびあなたがたの右手が所有する者(に規切であれ)。アッラーは高慢な者,うぬばれる者を御好・になられない。 

 

     37. かれらは吝嗇な者たちで,人びとにも吝嗇を勧め,アッラーがかれらに与えられた恩恵を隠すためにわが信仰を拒む者のためには,恥ずべき懲罰を準備しておいた。 

 

     38. かれらは人びとに見せびらかすために,その財産を施し,アッラーも,最後の(審判の)日をも信しない。誰にしろ悪魔を仲間とする者は,何と忌まわしい仲間をもったことよ。 

 

     39. かれらが仮令アッラーと最後の日を信じて,アッラーがかれらに与えたものから施しても,かれらにとり何の負担になろうか。アッラーはかれらをよく知っておられる。 

 

     40. 誠にアッラーは,敏塵の重さ程も間違えられない。もし一善があれば,かれはこれを倍加なされ,またかれの御許から偉大な報奨を与えられよう。 

 

     41. われが,それぞれのウンマから一人の証人を連れてくる時,またあなた(ムハンマド)を,かれらの悪に対する証人とする時は,どんな(有様)であろうか。 

 

     42. その日,信仰を拒否して使徒に従わなかった者たちは,大地がかれらと共に,平らになって消されるよう願うことであろう。かれらは,何一つアッラーに隠しおおせないであろう。 

 

     43. 信仰する者よ,あなたがたが酔った時は,自分の言うことが理解出来るようになるまで,礼拝に近付いてはならない。また大汚の時も,旅路にある者を除き,全身を沫浴した後でなければならない。またもしあなたがたが病にかかるか旅行中であり,または誰か廁から出るか,あるいはあなたがたが女と交わって,水を見つけられない場合は,清い上に触れ,あなたがたの顔と両手をなでなさい。本当にアッラーは,罪障を消滅なされる御方,度々御許しなされる御方である。 

 

     44. あなたは見ないか,啓典の一部を与えられた者が,自分に迷誤を購い,あなたがたをも道から迷わせようとするのを。 

 

     45. アッラーはあなたがたの敵を,知り尽くされる。アッラーはぬかりなく愛護され援助なされる。 

 

     46. ユダヤ人のある者は(啓典の)字句の位置を変えて,「わたしたちは聞いた,だが従わない。」と言い,また「あなたがたは,聞かされないことを聞け。」またはその舌をゆがめて〔ラーイナー〕と言い,また宗教を中傷する。だがかれらがもし,「わたしたちは聞きます,そして従います。」,「謹聴せよ。」,また〔ウンズルナー〕と言うならば,かれらのために最もよく,また最も正しい。だがアッラーはかれらが不信心なために,見はなされた。それでも僅かのをしか信仰しない。 

 

     47. 啓典の民よ,あなたがたが持っているもの(ムーサーの律法)を確証するために,(いま)われが下したもの(クルアーン)を信じなさい。われがあなたがたの顔を塗りつぶして,それを後ろの方にねじ回わされない前に(信じなさい)。また且つて安息日を破った者たちが,見限られたように見はなされない前に(信じなさい)。アッラーの命令は,必ず成し遂げられるのである。 

 

     48. 本当にアッラーは,(何ものをも)かれに配することを赦されない。それ以外のことに就いては,御心に適う者を赦される。アッラーに(何ものかを)配する者は,まさに大罪を犯す者である。 

 

     49. あなたは,あの自ら清浄だとする者を知らないのか。いや,アッラーは御心に適う者を清め,かれは少しも不当に扱われない。 

 

     50. 見なさい。かれらがアッラーに就いて,如何に偽りを創出しているかを。このこと自体,十分に明白な罪である。 

 

     51. あなたはかの啓典の一部を授かった者を思わないのか,かれらはジブトとターグートを信じ,不信心な者を指して,「これらの者は,信者たちよりも正しい道に導かれている。」と言う。 

 

     52. (啓典の一部を与えられていながら不届なことをする)これらの者は,アッラーの怒りを被むる者である。アッラーが見はなした者を誰一人援助しはしないであろう。 

 

     53. かれらは,大権の一端をあずかれるとでも思っているのか。仮令そうであっても,かれらは少しも人びとに与えることをしないであろう。 

 

     54. それともかれらは,アッラーが恩恵を施されたために,その人びと(アラビア人)を妬むのか。まさにわれはイブラーヒームの子孫に啓典と英知とを授け,且つ偉大な王国を与えた。 

 

     55. だがかれらのある者はこれを信じたが,ある者はそれから背き去った。地獄は燃え盛る火として十分であろう。 

 

     56. 本当にわが印を信じない者は,やがて火獄に投げ込まれよう。かれらの皮膚が焼け尽きる度に,われは他の皮膚でこれに替え,かれらに(飽くまで)懲罰を味わわせるであろう。誠にアッラーは偉力ならびなく英明であられる。 

 

     57. だが信仰して善い行いに励む者には,われは川が下を流れる楽園に入らせ,永遠にその中に住まわせよう。そこでかれらは,純潔な配偶を持ち,われは涼しい影にかれらを入らせるであろう。 

 

     58. 誠にアッラーは,あなたがたが信託されたものを,元の所有者に返還することを命じられる。またあなたがたが人の間を裁く時は,公正に裁くことを命じられる。アッラーがあなたがたに訓戒されることは,何と善美なことよ。誠にアッラーは全てを聴き凡てのことに通暁なされる。 

 

     59. あなたがた信仰する者よ,アッラーに従いなさい,また使徒とあなたがたの中の権能をもつ者に従え。あなたがたは何事に就いても異論があれば,アッラーと終末の日を信じるのなら,これをアッラーと使徒に委ねなさい。それは最も良い,最も妥当な決定である。 

 

     60. あなたは,かのあなたに下されたもの,およびあなた以前に下されたものを信じると,ただロ走っている者たちを見なかったのか。かれらは邪神を拒むよう,命じられているにも拘らず,その(争議の)裁定のため,栗いに邪神に頼ろうと望んでいる。また悪魔は,かれらが(正道から)遠く迷い去るように導こうと望んでいる。 

 

     61. かれらに向かって「アッラーが下されたもの,また使徒のもとに来なさい。」と告げられた時,にせ信者たちは,嫌って,きっとあなたから背き去るのを見るであろう。 

 

     62. ところがかれらが自ら手を下したことのために,災難にあった時はどうであろう。その時かれらはあなたの許に来て,アッラーに誓けて,「わたしたちは,只好意と調停とを望んだだけだ。」と誓って言うであろう。 

 

     63. これらの者の心の中に抱くことを,アッラーは知っておられる。だからこれを意にとめず,かれらに訓戒し,魂に徹する言葉で呼びかけなさい。 

 

     64. われが使徒を遣わしたのは,唯アッラーの御許しの許に服従,帰依させるためである。もしかれらが間違った時あなたの許に来て,アッラーの御容赦を願い,使徒が,かれらのために御赦しを祈るならば,かれらはアッラーが,度々許される御方,慈悲深い御方であられることが分かるであろう。 

 

     65. だがあなたがたの主に誓けてそうではないのである。かれらは信しないであろう。かれらの間の紛争に就いてあなたの裁定を仰ぎ,あなたの判決したことに,かれら自身不満を感じず,心から納得して信服するまでは。 

 

     66. 仮令われがかれらに「身命を棒げなさい。」,または,「家から出て行け。」と命じても,かれらの中少数の者の外は,そうしなかったであろう。もしかれらが,勧められるように行ったならば,きっとかれらのためにも善いことであり,もっと(信仰も)強まったのだが。 

 

     67. その時は,わが許から必ず偉大な報奨を授け, 

 

     68. われは正しい道に,かれらを必ず導ぐのである。 

 

     69. アッラーと使徒に従う者は,アッラーが恩恵を施された預言者たち,誠実な者たち,殉教者たちと正義の人々の仲間となる。これらは何と立派な仲間であることよ。 

 

     70. これはアッラーからの恩恵である。アッラーは凡てのことにぬかりなく通暁しておられる。 

 

     71. 信仰する者よ,あなたがたは慎重に警戒しなさい。あるいは分隊で進・,あるいは全隊で出動しなさい。 

 

     72. あなたがたの中には,確かに遅れをとる者がある。もし艱難があなたがたに下れば,「わたしたちが,かれらと一緒に殉教しなかったのは,まさにアッラーの御恵・だ。」と言う。 

 

     73. だがアッラーからの恩恵が,あなたがたに下る時は,まるであなたがたとかれらとの間に全く友情もなかったかのように,かれらはきっと,「ああ,わたしがかれらと一緒であったなら,わたしは大成功をなし遂げたのだが。」と言う。 

 

     74. だから来世のために,現世の生活を捨てる者に,アッラーの道のために戦わせなさい。アッラーの道のために戦った者には,殺害された者でもまた勝利を得た者でも,われは必ず偉大な報奨を与えるであろう。 

 

     75. あなたがたはどうして,アッラーの道のために戦わないのか。また弱い男や女や子供たちのためにも。かれらは(祈って)言う。「主よ,この不義をなす(マッカの)住民の町から,わたしたちを救い出して下さい。そしてわたしたちに,あなたの御許から一人の保護者を立てて下さい。またわたしたちに,あなたの御許から一人の援助者を立てて下さい。」 

 

     76. 信仰する者はアッラーの道のために戦い,信仰しない者は,ターダートの道のために戦う。さあ,悪魔の味方に対して戦え。本当に悪魔の策謀は弱いものである。 

 

     77. 「あなたがたの手を控えなさい。そして礼拝の務めを守り,定めの喜捨をしなさい。」と告げられた者を,あなたは見なかったのか。いざかれらに戦闘が命じられると,見よ。かれらの中の一派は,丁度アッラーを恐れるように,人間を恐れ始める。いやもっとひどく恐れる。そして言う。「主よ。あなたは,何故わたしたちに戦闘を命じられますか。何故しばらくの間,わたしたちを猶予なさいませんか。」言ってやるがいい。「現世の歓楽は些細なものである。来世こそは,(アッラーを)畏れる者にとっては最も優れている。あなたがたは,少しも不当に扱われないのである。」 

 

     78. あなたがたが何所にいても,仮令堅固な高楼にいても,死は必ずやって来る。かれらは幸運にあえば,「これはアッラーの御許からだ。」と言い,また災難にあえば,「これはあなた(ムハンマド)からだ。」と言う。言ってやるがいい。「一切はアッラーの御許からである。」一体この人たちはどうしたのであろうか。(どんな)言葉もほとんど理解しないのか。 

 

     79. あなたに訪れるどんな幸福も,アッラーからであり,あなたに起ころどんな災厄も,あなた自身からである。われはあなたを,人びとへの使徒として遺わした。本当にアッラーは証人として万全であられる。 

 

     80. 使徒に従う者は,まさにアッラーに従う者である。誰でも背き去る者のために,われはあなたを見張り人として遺わしたのではない。 

 

     81. かれらは,「仰せに従います。」と言うが,一度あなたの前から立ち去ると,あなたが言ったのとは違ったことを夜もすがら策謀する。だがアッラーはかれらの終夜の策謀を記録なされる。だからあなたはかれらから遠ざかり,アッラーに御縋りしなさい。誠にアッラーは保護者として万全であられる。 

 

     82. かれらはクルアーンを,よく考えて・ないのであろうか。もしそれがアッラー以外のものから出たとすれば,かれらはその中にきっと多くの矛盾を見出すであろう。 

 

     83. かれらは(戦時に)優勢,劣勢の情報を得る度にそれを言いふらす。だが,もしそれを使徒,または権威を委ねられた者たちにただしたなら,(正しい)判断を求めた者はそれを知り得ただろうに。誠にアッラーの恩恵と慈悲が,あなたがたの上になかったならば,僅かの者の外,あなたがたはきっと悪魔に従ったであろう。 

 

     84. だからアッラーの道のために戦え。あなた(ムハンマド)は,自分に対してだけ,責めを負わされているのだ。信者たちを激励しなさい。おそらくアッラーは,信仰しない者たちの戦意を抑止されよう。アッラーの武勇はなにものよりも優れ,その罰もはるかに厳しいのである。 

 

     85. 善い勧告で執り成す者には,それに相応する分け前があろう。また悪い勧告で執り成す者は,それに相応する重荷を負うであろう。アッラーは,凡てのことに御力を御持ちになられる。  

 

     86. あなたがたが挨拶された時は,更に丁重な挨拶をするか,または同様の挨拶を返せ。誠にアッラーは凡てのことを清算なされる。 

 

     87. アッラー,かれの外に神はないのである。かれは審判の日にあなたがたを集められる。それには,疑いの余地はない。誰の言葉が,アッラーよりも真実であろうか。 

 

     88. あなたがたは,偽信者たちのことで,どうして2派に分れたのか。アッラーはかれらの行いのために,かれらを(不信心に)転落させられたではないか。あなたがたは,アッラーが迷わせられた者を導こうと望むのか。本当にアッラーが迷わせられた者には,決して道を見いだせないであろう。 

 

     89. かれらは自分が無信仰なように,あなたがたも無信仰になり,(かれらの)同類になることを望む。だからかれらがアッラーの道に移って来るまでは,かれらの中から(親しい)友を得てはならない。もしかれらが背をむけるならば,ところかまわずかれらを捕え,見付け次第かれらを殺せ。かれらの中から決して友や援助者を得てはならない。 

 

     90. だが,あなたがたと盟約した民に仲間入りした者,またはあなたがたとも自分の人びととも戦わないと,心に決めて,あなたのところへやって来る者は別である。もしアッラーの御心ならば,かれは,あなたがたよりもかれらを優勢になされ,あなたがたと戦うであろう。それで,もしかれらが身を引いて,あなたがたと戦わないで和平を申し出るならば,アッラーはかれらに対して(戦う)道を,あなたがたに与えられない。 

 

     91. 外のある者は,あなたがたから安全を望・,また,自分の人びとからも安全であり度いと望むのを,あなたがたは見るであろう。かれらは試・にあう度に,それら(の誘惑)に陥り転落する。それでかれらがもし退かず,あなたがたに和平も求めず,また手を納めないなら,ところかまわずかれらを捕え,見つけ次第かれらを殺せ。これらの者に対しては,われはあなたがたに,明白な権能を授ける。 

 

     92. 信者は信者を殺害してはならない。過失の場合は別であるにしても。過失で信者を殺した者は,1名の信者の奴隷を解放し,且つ(被害者の)家族に対し血の代償を支払え,だがかれらが見逃す場合は別である。もし被害者があなたがたと敵対関係にある民に属し,信者である場合は,1名の信者の奴隷を解放すればよい。またもしかれが,あなたがたと同盟している民に属する場合は,その家族に血の代償を支払ったうえ,1名の信者の奴隷を解放しなければならない。資力のない者は,アッラーからの罪の償いに続けて2ケ月間の斎戒をしなさい。アッラーは全知にして英明であられる。 

 

     93. だが信者を故意に殺害した者は,その応報は地獄で,かれは永遠にその中に住むであろう。アッラーは怒ってかれを見はなされ,厳しい懲罰を備えられる。 

 

     94. 信仰する者よ,あなたがたがアッラーの道のために,出動するときは,(慎重に)事態を見きわめ,あなたがたに挨拶する者に向かって,「あなたがたは信者ではない。」と言ってはならない。あなたがたは現世の生活上の消えやすい財迂を求めるが,アッラーの御許には,夥しい戦利品がある。以前あなたがたもそうであったが,アッラーは御恵・を与えられる。だから(慎重に)行動しなさい。誠にアッラーは,あなたがたの行うことを熟知なされる。 

 

     95. 信者の中,これと言った支障もないのに(家に)座っている者と,財産と生命を捧げて,アッラーの道のために奮闘する者とは同じではない。アッラーは,財産と生命を棒げて奮闘する者に,座っている者より高い位階を授けられる。アッラーは(信者の)それぞれに,良い報奨を約束なされる。だがアッラーは奮闘する者には座っている者よりも偉大な報奨を授けられる。 

 

     96. 位階も御赦しも慈悲も。誠にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。 

 

     97. 自分自身を損っているところを天使に召された人々に(天使は)言う。「あなたがたはどうしていたのか。」かれらは(答えて)言う。「わたしたちは地上で弱く,痛めつけられていました。」その時かれら(天使)は言う。「アッラーの国土は広大ではなかったのか,あなたがたはそこに移り住めたではないか。」これらの者の住まいは地獄であろう。何と悪い帰り所であることよ。 

 

     98. 只(本当に)弱かった男女と子供たちは別である。かれらは(自ら避難する)手段を見い出すことも出来ず,また道へも導かれなかった。 

 

     99. これらの者には,あるいはアッラーの御許しがあろう。アッラーは,罪障を消滅なされる御方,度々御赦しなされる御方である。 

 

     100. アッラーの道のために移住する者は,地上に広い避難所と,豊かさ(居住地)のあることを知るであろう。凡そアッラーとその使徒の許に,家郷から移り住・,その後(例え)死に捕えられても,そのものの報奨に就いて必ずアッラーが請け合われる。アッラーは覚容にして慈悲深くあられる。 

 

     101. あなたがたが地上を旅する時,もし信仰のない者たちに,害を加えられる恐れのある時は,礼拝を短縮しても罪はない。誠に不信者は,あなたがたの公然の敵である。 

 

     102. あなたがかれら(信者)の中にあって,かれらと礼拝に立つ時は,(まず)かれらの一部をあなたと共に(礼拝に)立たせそしてかれらに武器を持たせなさい。かれらがサジダ(して第1のラカート「礼拝の単位」)を終えたならば,あなたがたの後ろに行かせ,それからまだ礼拝しない他の一団に,あなたと共に礼拝(の第2のラカート)をさせ(て礼拝を終わり),かれらに武器を持たせ警戒させなさい。不信者たちは,あなたがたが武器や行李をゆるがせにする隙に乗じ,一挙に飛びかかって襲おうと望んでいる。ただし雨にあい,またはあなたがたが病気の時,自分の武器をおいても罪はない。だが用心の上に用心しなさい。アッラーは不信者のために恥ずべき懲罰を備えられる。 

 

     103. あなたがたは礼拝を終えたならば,立ったまま,また座ったまま,または横になったまま,アッラーを唱念〔ズィクル〕し,安全になった時は,(正しく)礼拝の務めを守れ。本当に礼拝には,信者に対し定められた時刻の掟がある。 

 

     104. あなたがたは,敵を追うことに弱音を吐いてはならない。あなたがたが苦難に陥った時は,かれらもまた同じように苦しんでいる。しかもあなたがたは,アッラーからの希望が持てるが,かれらにはない。アッラーは全知にして英明であられる。 

 

     105. 誠にわれは,真理をもってあなたに啓典を下した。これはアッラーが示されたところによって,あなたが人びとの間を裁くためである。あなたは背信者を弁護してはならない。 

 

     106. アッラーの御赦しを請いなさい。アッラーは寛容にして悲慈深くあられる。 

 

     107. 自らの魂を歎く者を弁護してはならない。アッラーは背信して罪を犯す者を御好・になられない。 

 

     108. かれらは人に(その罪を)隠せるが,アッラーに隠しだてすることは出来ない。夜中にかれの御喜びになられないことを,策謀する時でも,かれはかれらと共においでになられる。誠にアッラーは,かれらの行う一切のことを御存知であられる。 

 

     109. これ,あなたがたは現世の生活の上でかれらのために弁護している。だが誰が,復活の日に,かれらのためアッラーに弁護出来よう。また誰が,かれらの事の保護者となろうか。 

 

     110. 悪事を行い,また自分の魂を積ちても,直ぐにアッラーの御赦しを請うならば,アッラーが寛容で慈悲深くあられることが分るであろう。 

 

     111. 罪を稼ぐ者は,自分の身にそれを稼ぐだけ。アッラーは全知にして英明な御方であられる。 

 

     112. 過失または罪を犯して,これを潔白な者のせいにする者は,虚偽と明白な罪を負う者である。 

 

     113. もしあなたに対する,アッラーの恩恵と慈悲がなかったならば,かれらの一派は,あなたを迷わそうと企んだであろう。だがかれらは只自分自身を迷わせただけで,少しもあなたを損うことは出来ない。アッラーは啓典と英知とを,あなたに下し,あなたが全く知らなかったことを教えられた。あなたに対するアッラーの恩恵こそ偉大である。 

 

     114. かれらの秘密の会議の多くは,無益なことである。ただし施しや善行を勧め,あるいは人びとの間を執り成すのは別である。アッラーの御喜びを求めてこれを行う者には,われはやがて,偉大な報奨を与えるであろう。 

 

     115. 導きが明らかにされたにも拘らず,使徒に背き,信者の道ではない道に従う者には,かれが転向したいままに任せ,結局かれは地獄に入るであろう。何と悪い帰り所であることよ。 

 

     116. 誠にアッラーは,(何ものをも)かれに配することを御赦しになられない。だがその外のことは,御心に適えば御赦し下される。凡そアッラーに同位の者をあげる者は,確かに遠く(正道から)迷い去った者である。 

 

     117. かれらはかれを差し置いて,女の像に祈っている。それは反逆した悪魔に祈っているにすぎない。 

 

     118. アッラーはかれ(思魔)を見限られた。だがかれは言った。「わたしはあなたのしもベの中,相当の部分の者をきっと連れさるでしょう。 

 

     119. またわたしはきっとかれらを迷わせて,その虚しい欲望に耽らせ,またかれらに命じて家畜の耳を切り,アッラーの創造を変形させます。」誰でもアッラーの外に悪魔を友とする者は,必ず明らかな損失を被るのである。 

 

     120. (悪魔は)かれらと約束を結び,虚しい欲望に耽らせるであろう。だが悪魔の約束は,欺瞞に過ぎない。 

 

     121. かれらの住まいは地獄である。かれらはそれから逃れる道を,見いだせない。 

 

     122. だが信仰して善い行いに励む者は,われはやがて,川が下を流れる楽園に入らせ,永遠にその中に住まわせよう。アッラーの約束は真実である。誰の言葉がアッラーのそれよりも真実であろうか。 

 

     123. これはあなたがたの妄想によるものではなく,また啓典の民の妄想でもない。誰でも悪事を行う者は,その報いを受けよう。アッラーの外には,愛護し援助する者も見いだせない。 

 

     124. 誰でも,正しい行いに励む者は,男でも女でも信仰に堅固な者。これらは楽園に入り,少しも不当に扱われない。 

 

     125. アッラーに真心こめて服従,帰依し,善い行いに励・,イブラーヒームの純正な信仰に従う者以上に優れた者があろうか。アッラーは,イブラーヒームを親しい友にされたのである。 

 

     126. 凡そ天にあり,地にある凡てのものは,アッラーの有であり,アッラーば凡ての事を,包含なされる。 

 

     127. かれらは女のことで,あなたに訓示を求める。言ってやるがいい。「アッラーは,かの女らに関しあなたがたに告げられる。また啓典の中でも,あなたがたが,所定のものを与えず,娶ろうと欲する女の孤児に関し,また哀れな子供らに関し,更にあなたがたが孤児を公正に待遇しなければならないことに関し,あなたに読誦されたこと(を思え)。あなたがたが行うどんな善いことも,アッラーは深くそれを知っておられる。」 

 

     128. もし女が,その夫から虐待され,忌避される心配があるとき,両人の間を,和解させるのは罪ではない。和解は最もよいことである。だが人間の魂は,貪欲になりがちである。もしあなたがたが善行をし,主を畏れるならば,誠にアッラーは,あなたがたの行うことを熟知なされる。 

 

     129. あなたがたは妻たちに対して公平にしようとしても,到底出来ないであろう。あなたがたは(そう)望んでも。偏愛に傾き,妻の一人をあいまいに放って置いてはならない。あなたがたが融和し,主を畏れるのならば。誠にアッラーは,度々赦される御方,慈悲深い御方であられる。 

 

     130. 仮令かれらが離別しても,アッラーは恩沢を与えられ,両人を仕合わせになされる。アッラーは厚施にして英明な御方であられる。 

 

     131. 天にあり,また地にある凡てのものは,アッラーの有である。われはあなたがた以前に啓典を与えられた者,またあなたがた(ムスリム)にも,「アッラーを畏れよ。」と命じた。仮令あなたがたが信じなくても,天にあり地にある凡てのものは,アッラーの有である。アッラーは,満ち足りておられる方,讃美すべき方であられる。 

 

     132. 天にあり,地にある凡てのものは,アッラーの有である。アッラーは凡ての事をぬかりなく管理される方であられる。 

 

     133. もしかれが御望・になれば,あなたがたを滅ぼし,外の民を招いてこられよう。誠にアッラーは,それをする御力を持っておられる。 

 

     134. 現世の報奨を欲する者もあろうが,アッラーの御許には,現世と来世の報奨がある。アッラーは全聴にして凡てに通暁なされる。 

 

     135. あなたがた信仰する者よ,証言にあたってアッラーのため公正を堅持しなさい。仮令あなたがた自身のため,または両親や近親のため(に不利な場合)でも,また富者でも,貧者であっても(公正であれ)。アッラーは(あなたがたよりも)双方にもっと近いのである。だから私欲に従って,(公正から)逸れてはならない。あなたがたが仮令(証言を)曲げ,または背いても,アッラーはあなたがたの行うことを熟知なされる。 

 

     136. あなたがた信仰する者よ,アッラーとかれの使徒を信じなさい。また使徒に下された啓典と,以前に下された啓典を信じなさい。凡そアッラーを信じないで,天使たちと諸啓典とかれの使徒たち,そして終末の日を信しない者は,確かに遠く迷い去った者である。 

 

     137. 一度信仰した者が,やがて不信心になり,それから(再度)信仰してまた背信し,その不信心を増長させる者があるが,アッラーはかれらを決して赦されないし,かれらを(正しい)道に導かれることはない。 

 

     138. 偽信者に告げなさい,かれらに痛烈な懲罰があることを。 

 

     139. 信者たちを差し置いて,不信心の者を(親密な)友とする者がある。これらの者は,かれらの間で栄誉を求めるのか。いや,凡ての権勢はアッラーに属する。 

 

     140. 啓典の中で,あなたがたに確かに訓戒した。もしアッラーの印が拒否され,または瑚笑されるのをあなたがたが耳にするならば,かれらが外の話に移るまでかれらと同席してはならない。あなたがたが(同席)したならば,かれらと同類になる。本当にアッラーは偽信者と不信心の者を,凡て地獄の中に集められる。 

 

     141. (かれらは)あなたがた(の戦果)を待っていた者たちである。アッラー(の助け)によってあなたがたが勝利を得た時は,(あなたがたに向かって)「わたしたちも,あなたがたと一緒だったではないか。」と言う。もしまた不信心者に有利な時は,(かれらに向かって)「わたしたちは,あなたがたを優勢にしてやったではないか。わたしたちは信者(ムスリム)からあなたがたを守ってやったではないか。」と言う。アッラーは審判の日に,あなたがたを裁かれる。アッラーは信者たちに対して,不信心者たちの(成功する)道を,決して与えられない。 

 

     142. 誠に偽信者は,アッラーを欺むこうとするが,かれはかえってかれらを欺むかれる。かれらが礼拝に立つ時は,物(嚢?)げに立ち,人に見せるためで,ほとんどアッラーを念じない。 

 

     143. あれやこれやと心が動いて,こちらへでもなくまたあちらへでもない。本当にアッラーが迷うに任せられる者には,あなたはかれのために決して道を見いだしてやれない。 

 

     144. あなたがた信仰する者よ,信者の外に不信心な者を(親しい)友としてはならない。あなたがた自ら(不利な),はっきりとした証拠を,アッラーに差し出すことを望むのか。 

 

     145. 本当に偽信者たちは,火獄の最下の奈落に(陥ろう)。あなたはかれらのために,援助する者を見いだせない。 

 

     146. だが悔悟して(その身を)修め,アッラーにしっかりと縋りきって,アッラーに信心の誠を尽くす者は別である。これらは信者たちと共にいる者である。アッラーは,やがて信者に偉大な報奨を与えるであろう。 

 

     147. もしあなたがたが感謝して信仰するならば,アッラーはどうしてあなたがたを処罰されようか。アッラーは嘉し深く知っておられる方である。