PART 2

 

     142. 人びとの中の愚かな者は言うであろう。「どうしてかれら(ムスリム)は守っていた方向〔キブラ〕を変えたのか。」言ってやるがいい。「東も西もアッラーの有である。かれは御心にかなう者を,正しい道に導かれる。」 

 

     143. このようにわれは,あなたがたを中正の共同体〔ウンマ〕とする。それであなたがたは,人びとに対し証人であり,また使徒は,あなたがたに対し証人である。われがあなたがたの守っていたものに対し,この方向〔キブラ〕を定めたのは,只,踵を返す者と使徒に従う者とを見分けるためである。これは容易ではない事であるが,アッラーが導かれる者にとっては何でもない。だがアッラーは,あなたがたの信仰を決して虚しくなされない。本当にアッラーは人間に対し,限りなく優しく慈悲深い方であられる。 

 

     144. われはあなたが(導きを求め),天に顔を巡らすのを見る。そこでわれは,あなたの納得するキブラに,あなたを向かわせる。あなたの顔を聖なるマスジドの方向に向けなさい。あなたがたは何処にいても,あなたがたの顔をキブラに向けなさい。本当に啓典の民は,それが主からの真理であることを知っている。アッラーは,かれらの行うことに無頓着な方ではない。 

 

     145. 仮令あなたが,凡ての印を啓典の民に提示しても,かれらはあなたのキブラに従わないであろう。またあなたもかれらのキブラに従わない。かれらは栗いに,他の者のキブラに従わない。あなたに知識が授けられた後,もしかれらの(虚しい)望・に従うならば,本当にあなたは,不義を行う者の仲間である。 

 

     146. われが啓典を授けた者たちは,自分の子を認めるようにそれを認める。だがかれら一部の者は,承知の上で真理を隠す。 

 

     147. 真理は主から(来たもの)である。だからあなたがたは疑うべきではない。 

 

     148. 各人にはその向かう方位がある。それで栗いに凡ての善事を競え。あなたがたは何処にいても,アッラーは一斉にあなたがたを集められる。誠にアッラーは凡てのことに全能であられる。 

 

     149. だからあなたは,何処に行っても,顔を聖なるマスジドの方に向けなさい。これは本当に,あなたの主からの真理である。アッラーは,あなたがたの行うことに無頓着な方ではない。 

 

     150. だからあなたがたは,何処に行っても,顔を聖なるマスジドの方に向けなさい。またあなたがたは何処にいても,顔をそこに向けなさこれは不義を行う者は論外であるが,人々があなたがたに対しとやかく言う余地を無くすためである。だからかれらを恐れず,ただわれを畏れなさい。それはあなたがたに対する,わが恩恵を全うするためである。あなたがたは恐らく正しい導きを与えられるであろう。 

 

     151. われはあなたがたの一人をわが使徒として遣わし,わが印をあなたがたに読論誦して,あなたがたを清め,また啓典と英知を教え,あなたがたの知らなかったことを教えさせた。 

 

     152. だからわれを念じなさい。そうすればわれもあなたがたに就いて考慮するであろう。われに感謝し,恩を忘れてはならない。 

 

     153. あなたがた信仰する者よ,忍耐と礼拝によって助けを求めなさい。本当にアッラーは耐え忍ぶ者と共におられる。 

 

     154. アッラーの道のために殺害された者を,「(かれらは)死んだ。」と言ってはならない。いや,(かれらは)生きている。只あなたがたが知らないだけである。 

 

     155. われは,恐れや飢え,と共に財産や生命,(あなたがたの労苦の)果実の損失で,必ずあなたがたを試・る。だが耐え忍ぶ者には吉報を伝えなさい。 

 

     156. 災難に遭うと,「本当にわたしたちは,アッラーのもの。かれの御許にわたしたちは帰ります。」と言う者, 

 

     157. このような者の上にこそ主からの祝福と御恵・は下り,またかれらは,正しく導かれる。 

 

     158. 本当にサファーとマルフは,アッラーの印の中である。だから聖殿に巡礼する者,または(小巡礼のためにそれを)訪れる者は,この両丘をタフーフ(回巡)しても罪ではない。進んで善い行いをする者には,本当にアッラーは嘉し,それをよく御認め下さる。 

 

     159. 啓典の中で人びとのためわれが解明した後で,凡そわれが下した明証と導きを隠す者たちは,アッラーの怒りに触れ,呪う者たちの呪いにも会うであろう。 

 

     160. だが悔悟してその身を修め,(真理を)公然と表明する者は別で,これらの者には,われはその悔悟を許すであろう。本当にわれは度々許す,慈悲深い者である。 

 

     161. 本当に信仰を拒んで不信者として死ぬ者たち,かれらの上にはアッラーの謹責と,天使たちおよび全人類の呪いがある。 

 

     162. かれらはその中に永遠に住むであろう。その懲罰は軽減されず,また猶予もないであろう。 

 

     163. あなたがたの神は唯一の神(アッラー)である。かれの外に神はなく,慈悲あまねく慈愛深き方である。 

 

     164. 本当に天と地の創造,昼夜の交替,人を益するものを運んで海原をゆく船の中に,またアッラーが天から降らせて死んだ大地を建らせ,生きとし生けるものを地上に広く散らばせる雨の中に,また風向きの変換,果ては天地の間にあって奉仕する雲の中に,理解ある者への(アッラーの)印がある。 

 

     165. だが人びとの中にはアッラーの外に同位の者を蝕けて,アッラーを愛するようにそれらを愛する者もある。だが信仰する者たちは,アッラーを激しく熱愛する。これら悪を行う者が,その懲罰を見る時思い知るがいい。一切の権能がアッラーに属し,またアッラーが厳しい懲罰を加えられることを。 

 

     166. その時指導者たちは追従者を見捨てて,懲罰を目の辺にして,かれらの間の一切の絆が断絶するであろう。 

 

     167. それで追従者たちは言う。「もしわたしたちが今一度ひき返すことが出来るならば,かれらがわたしたちを見捨てたようにかれらを見捨てるのだが。」アッラーはこのように,自分の行い(の果実)を明示される。かれらにとって痛恨の外ないであろう。かれらは業火(の責め苦)から出ることは出来ない。 

 

     168. 人びとよ,地上にあるものの中良い合法なものを食べて,悪魔の歩・に従ってはならない。本当にかれは,あなたがたにとって公然の敵である。 

 

     169. かれは,唯罪悪と醜事をあなたがたに命じ,アッラーに就いて,あなたがたの知らないことをロ走らせる。 

 

     170. かれらに,「アッラーが啓示されたところに従え。」と言えば,かれらは,「いや,わたしたちは祖先の道に従う。」と言う。何と,かれらの祖先は全く蒙味で,(正しく)導かれなかったではないか。 

 

     171. 信仰を拒む者たちを譬えるならば,何と呼びかけられても,呼び声と叫び声の外聞けない者のようで,聾唖者,盲人である。したがってかれらは理解することが出来ない。 

 

     172. 信仰する者よ,われがあなたがたに与えた良いものを食べなさい。そしてアッラーに感謝しなさい。もしあなたがたが本当に,かれに仕えるのであるならば。 

 

     173. かれがあなたがたに,(食べることを)禁じられるものは,死肉,血,豚肉,およびアッラー以外(の名)で供えられたものである。だが故意に違反せず,また法を越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。 

 

     174. アッラーが啓示された啓典の一部を隠し,それで僅かな利益を購う者は,その腹の中に火だけを飲・,復活の日にアッラーの御言葉もなく,また清めてもいただけないであろう。かれらは痛ましい懲罰を受ける。 

 

     175. これらの者は,導きの代りに迷いを購い,また寛容の代りに懲罰を購う者たちである。 かれらは如何に業火(の責め苦)を耐えねばならないことであろうか。 

 

     176. それというのもアッラーが,真理をもって啓典を下されたからである。この啓典に就いて異論を唱える者は,遠く離れ去った者たちである。 

 

     177. 正しく仕えるということは,あなたがたの顔を東または西に向けることではない。つまり正しく仕えるとは,アッラーと最後の(審判の)日,天使たち,諸啓典と預言者たちを信じ,かれを愛するためにその財産を,近親,孤児,貧者,旅路にある者や物乞いや奴隷の解放のために費やし,礼拝の務めを守り,定めの喜捨を行い,約束した時はその約束を果たし,また困苦と逆境と非常時に際しては,よく耐え忍ぶ者。これらこそ真実な者であり,またこれらこそ主を畏れる者である。 

 

     178. 信仰する者よ,あなたがたには殺害に対する報復が定められた。自由人には自由人,奴隷には奴隷,婦人には婦人と。だがかれ(加害者)に,(被害者の)兄弟から軽減の申し出があった場合は,(加害者は)誠意をもって丁重に弁償しなさい。これはあなたがたへの主からの(報復の)緩和であり,慈悲である。それで今後これに違反する者は,痛ましい懲罰を受けるであろう。 

 

     179. この報復(の掟)には,あなたがたへの生命(の救助)がある。思慮ある者たちよ,恐らくあなたがたは主を畏れるであろう。 

 

     180. あなたがたの中,死が近付いて,もし財産を残す時は,両親と近親に,公正な遺言をするよう定められている。これは,主を畏れる者の義務である。 

 

     181. それを聞いた後,(その遺言を勝手に)変更する者があれば,罪はそれを変更した者の上にある。本当にアッラーは,全聴にして全知であられる。 

 

     182. ただし,遺言者に不公平または不正のあることを恐れる者が,当事者の間を調停するのは,罪ではない。アッラーは寛容にして慈悲深き御方である。 

 

     183. 信仰する者よ,あなたがた以前の者に定められたようにあなたがたに斎戒が定められた。恐らくあなたがたは主を畏れるであろう。 

 

     184. (斎戒は)定められた日数である。だがあなたがたのうち病人,または旅路にある者は,後の日に(同じ)日数を(斎戒)すればよい。それに耐え難い者の償いは,貧者への給養である。すすんで善い行いをすることは,自分のために最もよもしあなたがたがよく(その精神を)会得したならば,斎戒は更にあなたがたのために良いであろう。 

 

     185. ラマダーンの月こそは,人類の導きとして,また導きと(正邪の)識別の明証としてクルアーラが下された月である。それであなたがたの中,この月(家に)いる者は,この月中,斎戒しなければならない。病気にかかっている者,または旅路にある者は,後の日に,同じ日数を(斎戒する)。アッラーはあなたがたに易きを求め,困難を求めない。これはあなたがたが定められた期間を全うして,導きに対し,アッラーを讃えるためで,恐らくあなたがたは感謝するであろう。 

 

     186. われのしもべたちが,われに就いてあなたに問う時,(言え)われは本当に(しもべたちの)近くにいる。かれがわれに祈る時はその嘆願の祈りに答える。それでわれ(の呼びかけ)に答えさせ,われを信仰させなさい,恐らくかれらは正しく導かれるであろう。 

 

     187. あなたがたは斎戒の夜,妻と交わることを許される。かの女らはあなたがたの衣であり,あなたがたはまたかの女らの衣である。アッラーはあなたがたが自ら欺いているのを知っておられ,不憫におもわれ,あなたがたを許された。だからかの女らと交わり,アッラーがあなたがたのため,定められたところに従え。また自糸と黒糸の見分けられる黎明になるまで食べて飲め。その後は日暮れまで斎戒を全うしなさい。マスジドに御籠りしている間,かの女らに交わってはならない。これはアッラーの(定められた)掟だから,かの女に近付いてはならない。このようにアッラーは,人びとに印を説き明かされる。恐らくかれらは主を畏れるであろう。 

 

     188. あなたがたの間で,不法にあなたがたの財産を貪ってはならない。またそれを贈って裁判官に近付き,他人の財産の一部を,不当であると知りながら貪ってはならない。 

 

     189. かれらは新月に就いて,あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それは人びとのため,また巡礼のための時の定めである。」またあなたがたが,自分の家の裏日から入るのは善行ではない。凡そ善行とは,主を畏れることである。だから家に入るには,正門から入りなさい。アッラーを畏れよ,あなたがたは恐らく至上の幸福を成就するであろう。 

 

     190. あなたがたに戦いを挑む者があれば,アッラーの道のために戦え。だが侵略的であってはならない。本当にアッラーは,侵略者を愛さない。 

 

     191. かれらに会えば,何処でもこれを殺しなさい。あなたがたを追放したところから,かれらを追放しなさい。本当に迫害は殺害より,もっと悪い。だが聖なるマスジドの近くでは,かれらが戦わない限り戦ってはならない。もし戦うならばこれを殺しなさい。これは不信心者ヘの応報である。 

 

     192. だがかれらが(戦いを)止めたならば,本当にアッラーは,寛容にして慈悲深くあられる。 

 

     193. 迫害がなくなって, この教義がアッラーのため(最も有力なもの)になるまでかれらに対して戦え。だがもしかれらが(戦いを)止めたならば,悪を行う者以外に対し,敵意を持つべきではない。 

 

     194. 聖月には聖月,また聖事には聖事,これが報復である。誰でも,あなたがたに敵対する者には,同じように敵対しなさい。だがアッラーを畏れなさい。本当にアッラーは,主を畏れる者と共におられることを知れ。 

 

     195. またアッラーの道のために(あなたがたの授けられたものを)施しなさい。だが,自分の手で自らを破滅に陥れてはならない。また善いことをしなさい。本当にアッラーは,善行を行う者を愛される。 

 

     196. アッラーのために,巡礼〔ハッジ〕と小巡礼〔オムラ〕を全うしなさい。もしあなたがたが妨げられたならば,容易に得られる供物を(送りなさい)。そして供物が犠牲を捧げる場に到着するまで,あなたの頭を剃ってはならない。あなたがたの中に病人,または頭(の皮膚)だ患いのある者は,斎戒をするか施しをなし,または犠牲を捧げて(頭を刺る)償ないとしなさい。またあなたがたが故障もないのに小巡礼をして,巡礼までの間を楽しむ者は,容易に得られる犠牲を捧げなければならない。もしそれを捧げることが不可能な時は,巡礼中に3日,帰ってから7日,合せて10日間(の斎戒)をしなさい。これは聖なるマスジド(の所巧地マッカ)に,家を持たない者に対する淀である。あなたがたはアッラーを畏れ,またアッラーの懲罰は本当に厳しいことを知りなさい。 

 

     197. 巡礼(の時期)は周知の数月である。それでその間に巡礼の務めを果たそうと決心した者は,巡礼中,(?)な行いや不道徳な行いを慎し・,また論争してはならない。あなたがたの行う善いことを,アッラーは知っておられる。旅の準備をしなさい。だが最も優れた準備は篤信の念である。あなたがた思慮ある者よ,われを畏れなさい。 

 

     198. 主の恩恵を求めて祈(り巡礼中に商売す)るのは,あなたがたにとって罪ではない。それでアラファートから,どっと下ってきて,聖なる場所(ムズダリファ)でアッラーを唱えて念じなさい。かれがあなたがたのことを思って導かれたように,あなたがたもかれを念いなさい。以前あなたがたは,確かに迷っていた。 

 

     199. それで,人びとの急ぎ降りるところから急ぎ降り,アッラーの御赦しを請い願いなさい。誠にアッラーは,寛容にして慈悲深くあられる。 

 

     200. あなたがたは聖儀を果たしたならば,アッラーを念じなさい。あなたがたの祖先を念じるように,いやそれよりも深く精魂を打ち込んで念じなさい。人びとの中には(祈って),「主よ,現世でわたしたちに,幸いを賜わりますように。」と言う者がある。だがかれらは来世における分けまえを得られないであろう。 

 

     201. また人びとの中には(祈って),「主よ,現世でわたしたちに幸いを賜い,また来世でも幸いを賜え。業火の懲罰から,わたしたちを守ってください。」と言う者がある。 

 

     202. これらの者には,その行ったことに対して分けまえがあろう。本当にアッラーは精算に迅速である。 

 

     203. 定められた数日間,アッラーを念じなさい。アッラーを畏れる者の中,誰でも急ぐならば,2日目(に帰っ)ても罪にはならない。また留まっても罪ではない。アッラーを畏れなさい。あなたがたは必ず,かれの御許に集められることを知りなさい。 

 

     204. 人びとの中には,この世の生活に関する言葉で,あなたの目をくらませる者がある。そしてかれらは,自分の胸に抱くことの証人としてアッラーを呼ぶ。だがこのような人間こそ最も議論好きな敵である。 

 

     205. かれらは背を向けるやいなや,地上に悪を広めることにつとめ,収穫物や家蓄を荒し廻る。だがアッラーは邪悪を愛されない。 

 

     206. かれらは「アッラーを畏れなさい。」と言われると,その高慢さのため(更に)罪に走る。かれらには地獄こそ適しい。だが何と悪い臥所であろうか。 

 

     207. また人びとの中には,アッラーの御喜びを願って,自分を売った者がある。アッラーは(御自分の)しもベに優しくあられる。 

 

     208. あなたがた信仰する者よ,心を込めてイスラーム(平安の境)に入れ。悪魔の歩・を追ってはならない。本当にかれは,あなたがたにとって公然の敵である。 

 

     209. 明証が下った後,あなたがたがもし足を踏・はずすならば,アッラーは偉力ならぶ者なく,英明であられることを知りなさい。 

 

     210. かれらは,アジラーが雲の天蓋の中に,天使たちを率いてかれらに臨まれ,その事を解決されるのを待つだけではないのか。アッラーに凡ての事(の決定)は,帰属するのである。 

 

     211. イスラエルの子孫に問え。われが如何に多くの明証を,かれらに下したかを。アッラーの恩恵が下った後,これを改変する者があれば,本当にアッラーは懲罰に厳重であられる。 

 

     212. 現世の生活は,不信心な者たちにとり魅惑的である。そしてかれらは信仰する者たちを嘲り笑う。だが(主に対して自分の)義務を果たす者は,復活の日にかれらの上位に立つであろう。アッラーは,御望・の者に限りなく与えられる。 

 

     213. 人類は(もともと)一族であった。それでアリラーは,預言者たちを吉報と警告の伝達者として遺わされた。またかれらと共に真理による啓典を下し,それで,人びとの間に異論のある種々の事に就いて裁定させられる。こうしてかれらに明証が下っているにも拘らず,(啓典を)授けられた者たちは,かえって栗いのために争ったのである。アッラーは,かれらが異論を唱える真理に就いて,信仰する者を特別の御許しで導かれる。本当にアッラーは,御心に適う者を正しい道に導かれる。 

 

     214. それともあなたがたは,先に過ぎ去った者たちが出会ったような(試・が)まだ訪れない先に(至上の幸福の)園に入ろうと考えるのか。かれらは災難や困窮に見舞われ,(不安の中に)動揺させられて,使徒も,一緒の信者たちも,「アッラーの御助けは,何時(来る)だろう。」と叫んだ程であった。ああ,本当にアッラーの御助けは近付いている。 

 

     215. かれらは,如何に施すべきか,あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「あなたがたが施してよいのは両親のため,近親,孤児,貧者と旅路にある者のためである。本当にアッラーはあなたがたの善行を,何でも深く知っておられる。」 

 

     216. 戦いがあなたがたに規定される。だがあなたがたはそれを嫌う。自分たちのために善いことを,あなたがたは嫌うかもしれない。また自分のために悪いことを,好むかもしれない。あなたがたは知らないが,アッラーは知っておられる。 

 

     217. かれらは聖月中に戦争することに就いて,あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「聖月中に戦うことは重大事である。だがアッラーの道に近付くのを妨げ,かれを否定し,また聖なるマスジド〔アル・マスジド・ル・ハラーム〕を汚し,そこ(の聖域)に住む者を追放することは,アッラーの御目にはもっと重大事である。迫害は,殺害より遙かに悪い。」かれらはもし出来るなら,あなたがたを信仰から背かせるまで戦いを止めないであろう。あなたがたの中で,もし信仰に背き,不信心者のままで死ぬ者があれば,このような者は,現世でも来世でも,その行いは徒となる。またこれらの者は,業火の住人である。かれらは永遠にその中に住む。 

 

     218. 本当に信仰する者,(迫害を避けて)移り住む者,そしてアッラーの道のために奮闘努力する者,これらの者は,アッラーの慈悲に浴するであろう。アッラーは寛容にして慈悲深き方であられる。 

 

     219. かれらは酒と,賭矢に就いてあなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それらは大きな罪であるが,人間のために(多少の)益もある。だがその罪は,益よりも大である。」またかれらは,何を施すべきかを,あなたに問うであろう。その時は,「何でも余分のものを。」と言ってやるがいい。このようにアッラーは,印をあなたがたに明示される。恐らくあなたがたは反省するであろう, 

 

     220. 現世に就いてもまた来世に就いても。またかれらは孤児に関し,あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「かれらのために,有利に取計らうのは善いことである。もし,かれらと親しく交る時は,あなたがたは兄弟である。」アッラーは,善意の者と悪事をなす者を知っておられる。アッラーがおばしめしならば,あなたがたをきっと困惑させられる。誠にアッラーは,偉力ならぶものなく英明であられる。 

 

     221. 多神教の女とは,かの女が信者になるまでは結婚してはならない。仮令あなたがたが気に入っていても,多神教の女よりは信仰のある女奴隷が勝る。また多神教の男が信者になるまでは,あなたがたの女子をかれらに嫁がせてはならない。仮令あなたがたの気に入っていても,多神教の男よりは信仰ある奴隷の方が勝っている。これらの者は,信者を業火に誘う。だがアッラーは寛容に罪を許され,楽園に呼び入れられる。また人びとに,かれの印を明示される。恐らくかれらは反省するであろう。 

 

     222. かれらは月経に就いて,あなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それは不浄である。だから月経時には,妻から遠ざかり,清まるまで近付いてはならない。それで清まった時には,アッラーが命じられるところに従って,かの女らに赴け。誠にアヅラーは,悔悟して不断に(かれに)帰る者を愛でられ,また純潔の者を愛される。」 

 

     223. 妻はあなたがたの耕地である。だから意のままに耕地に赴け。だが自分の魂のために,(予め何か)善いことをしなさい。アッラーを畏れなさい。あなたがたは(来世で)かれに会うことを知りなさい。なお(これらの)吉報を信者たちに伝えなさい。 

 

     224. あなたがたは善行,アッラーを畏れて正しいことを行うこと,また人々の間を執りなすことなどに対してアッラーヘの誓いをロ実にしてはならない。アッラーは全聴にして全知であられる。 

 

     225. アッラーは,あなたがたの誓いの中,不用意な言葉を咎めようとはなされない。だが,あなたがたの心の意図することを,咎められる。誠にアッラーは寛容にして大度の持主であられる。 

 

     226. 妻と縁を絶つことを誓う者は,4ヶ月間待たねばならない。もし(離婚の意志を)ひるがえすならば,誠にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。 

 

     227. またかれらが,もし離婚を堅く決心したならば,誠にアッラーは全聴にして全知であられる。 

 

     228. 離婚された女は,独身のままで3度の月経を待たねばならない。またもしもかの女らが,アッラーと最後の日を信じるならば,アッラーが胎内に創られたものを,隠すのは合法ではない。(この場合)夫たちがもし和解を望・,その期間内にかの女らを復縁させるならば,一層正当である。女は,公平な状態の下に,かれらに対して対等の権利をもつ。だが男は,女よりも一段上位である。誠にアッラーは偉力ならびなく英明であられる。 

 

     229. 離婚(の申し渡し)は,2度まで許される。その後は公平な待遇で同居(復縁)させるか,あるいは親切にして別れなさい。あなたがたはかの女に与えた,何ものも取り戻すことは出来ない。もっとも両人が,アッラーの定められた掟を守り得ないことを恐れる場合は別である。もしあなたがた両人が,アッラーの定められた掟を守り得ないことを恐れるならば,かの女がその(自由を得る)ために償い金を与えても,両人とも罪にはならない。これはアッラーの掟である。それ故これに背いてはならない。凡そアッラーの掟を犯す者こそ不義の徒である。 

 

     230. もしかれが(3回目の)離婚(を申し渡)したならば,かの女が他の夫と結婚するまでは,これと再婚することは出来ない。だが,かれ(第2の夫)がかの女を離婚した後ならば,その場合両人は罪にならない。もしアッラーの掟を守っていけると思われるならば,再婚しても妨げない。これはアッラーの掟である。かれは知識のある者たちに,これを説き明かされる。 

 

     231. あなたがたが妻を離婚して定められた期限が満了したならば,公平な待遇で同居させるか,または親切にして別れなさい。かの女を困らすために引きとめて,法を越えてはならない。そんなことをする者は,自分の魂を損う者である。愚弄して,アッラーの御告げを戯れごとにしてはならない。あなたがたに対するアッラーの恩恵を念い,またあなたがたに授けられた,あなたがたに勧告する啓典と英知を念え。アッラーを畏れなさい。アッラーは凡てのことを知り尽くされていることを知れ。 

 

     232. あなたがたが妻を離別し,定められた期間が満了して双方の合意の下に,妥当に話がまとまったならば,かの女らの結婚を(前の)夫は妨げてはならない。これ(教え)は,あなたがたの中アッラーと最後の日を信じる者への訓戒である。それはあなたがたにとって,最も清浄であり潔白である。あなたがたは知らないが,アッラーは知っておられる。 

 

     233. 母親は,乳児に満2年間授乳する。これは授乳を全うしようと望む者の期間である。父親はかれらの食料や衣服の経費を,公正に負担しなければならない。しかし誰も,その能力以上の負担を強いられない。母親はその子のために不当に強いられることなく,父親もその子のために不当に強いられてはならない。また相続人もそれと同様である。また両人が話し合いで合意の上,離乳を決めても,かれら両人に罪はない。またあなたがたは乳児を乳母に託すよう決定しても,約束したものを公正に支給するならば,あなたがたに罪はない。アッラーを畏れなさい。アッラーは,あなたがたの行いを御存知であられることを知れ。 

 

     234. もしあなたがたの中死後に妻を残す者があれば,かの女らは独身のままで4ヶ月と10日間を待たなければならない。その期間が満了した時,かの女らが適切に,その身を処することに就いては,あなたがたに罪はない。アッラーはあなたがたの行うことを熟知しておられる。 

 

     235. あなたがたはそのような女に,直に結婚を申し込んでも,または(その想いを)自分の胸にしまっておいても罪はない。アッラーはあなたがたが胸に秘めることを知っておられる。だが,公正な言葉で話す外,決してかの女と秘密に約束してはならない。また定められた期限が来るまでは,結婚の契りを固めてはならない。アッラーは,あなたがたが心の中に抱くことを熟知しておられることを知れ。だからかれに留意しなさい。アッラーが(?)容にして慈悲深い方であられることを知れ。 

 

     236. あなたがたがかの女らに触れず,また贈与額も定めない中に,離別するのは罪ではない。だがかの女らに(マハル)の一部を与えなさい。富者はその分に応じ,貧者もその分に応じて公正に贈与をしなさい。(これは)正しい行いをする者の務めである。 

 

     237. あなたがたがかの女らと離別する場合,まだかの女らには触れてはいないが,既にマハルを決めていた時は,約定した額の半分を与えなさい。かの女らが辞退するか,または結婚のきずなを握る者が辞退しない限り,あなたがたは(それを)辞退するのが最も正義に近い。なおあなたがたは,相栗のよし・を忘れてはならない。アッラーはあなたがたの行う凡てのことを御存知であられる。 

 

     238. 各礼拝を,特に中間の礼拝を謹厳に守れ,敬(虎?)にアッラーの御前に立て。 

 

     239. あなたがたが,((故?)の)恐れある時は,徒歩または騎乗のまま(略式の礼拝をしなさい)。だが安全になった時は,(完全な礼拝をして)アッラーを念じなさい。あなたがたが(もと)知らなかったことを,かれが教えられたように。 

 

     240. あなたがたの中(主に)召されて妻を残す者は,追い立てられることなく1年間扶養を受けるよう,妻たちのために遺言しなければならない。だがかの女らが出て行き合法的に行動することに対しては,あなたがたに罪はない。アッラーは偉力ならびなく英明であられる。 

 

     241. 離婚された女に対しては,妥当な贈り物をしなければならない。これは主を畏れる者の負う務めである。 

 

     242. このようにアッラーは,あなたがたにその印を説き明かされる。恐らくあなたがたは悟るであろう。 

 

     243. あなたは,自分の家から出て行った者たちを見なかったのか。かれらは死を恐れたためにそうしたが,その数は何千人に及んだ。アッラーはかれらに向かって「死ね。」と言われ,それから甦らせられた。誠にアッラーは人間への恩恵の主であられる。だが人びとの多くは感謝しない。 

 

     244. アッラーの道のために戦え。アッラーは全聴にして全知であられることを知れ。 

 

     245. アッラーによい選付をする者は,誰であるのか。かれはそれを倍加され,また数倍にもなされるではないか。アッラーは,乏しくもまた豊かにも自由自巧に与えられる。あなたがたはかれの御許に帰されるのである。 

 

     246. あなたはムーサーの後の,イスラエルの子孫の長老たちに就いて知らなかったのか。かれらは,自分の預言者に向かって言った。「わたしたちのために,一人の王を立てなさい。そうすれば,わたしたちはアッラーの道のために,戦うであろう。」そこでかれは,「あなたがたに戦いが命じられても,戦わないのではないか。」と言った。かれらは(答えて)「わたしたちはどうして,アッラーの道のために戦わずにいられようか,自分の家を追われ,子供からも離れているのに。」と言った。ところが戦いがかれらに命じられると,かれらの中の少数の者を除き背き去った。アッラーは不義を行う者を熟知しておられる。 

 

     247. 預言者はかれらに,「誠にアッラーは,タールートをあなたがたの上に,王として任命された。」と言った。かれらは言った。「かれがどうして,わたしたちの王になれようか。わたしたちこそ,かれよりも王に相応しい。またかれは富にも恵まれていない。」かれ(預言者)は言った。「アッラーは,あなたがたの上にかれを選び,かれの知識と体力を強められた。アッラーは御心に適う者に,王権を授けられる。アッラーは厚施にして全知であられる。」 

 

     248. 預言者はかれらに言った。「かれの王権の印は,あなたがたに来るあの(ほ?)ある。天使たちがその中に,主からの平安と,ムーサーの一族とハールーンの一族の遺品を入れてやって来る。あなたがたがもし(真の)信者ならば,その中にあなたがたへの印がある。」 

 

     249. タールートが軍を率いて出征する時,かれは言った。「本当にアッラーは,川であなたがたを試・られる。誰でも川の水を飲む者は,わが民ではない。だがそれを味わおうとしない者は,きっとわが民である。只手のひらで,一すくいするだけは別だ。」だが少数の者の外,かれらはそれを飲んだ。かれ(タールート)およびかれと信仰を共にする者が渡った時,かれらは,「わたしたちは今日ジャールート(ゴリアテ)とその軍勢に敵対する力はない。」と言った。だがアッラーに会うことを自覚する者たちは言った。「アッラーの御許しのもとに,幾度か少い兵力で大軍にうち勝ったではないか。アッラーは耐え忍ぶ者と共にいられる。」 

 

     250. それからかれらは進んで,ジャールートとその軍勢に見えんとする時,(祈って)言った。「主よ,わたしたちに不屈の精神を注ぎ込んで下さい。わたしたちの足場を固めて,不信心の民に対し,わたしたちを御助け下さい。」 

 

     251. 果たしてかれら(タールートの軍勢)は,アッラーの許しのもとにかれらを打ち破り,ダーウードはジャルートを殺し,アッラーは,王権と英知をかれ(ダーウード)に授け,かれのおばしめしに就いて教えられた。アッラーが人間を,栗いに抑制し合うように仕向けられなかったならば,大地はきっと腐敗したことであろう。だがアッラーは,凡てのものに恵・をくださる。 

 

     252. これはアッラーの宣託で,われは真理をあなたに読・聞かせる。誠にあなたは,遣わされた者の一人である。